えっ、日本では発売されないの?
あれよあれよという間に衰退の一途をたどってしまった「Windows Mobile」との決別を宣言し、モバイル分野でのマイクロソフト復活を賭けた必勝体制で臨む「Windows Phone 7」が、ついに正式発表されましたよ。世界各地で次々に発売される魅力あふれるラインナップも姿を現わしていますね。
ソフトウェア面で優れた新機能満載のWindows Phone 7のファーストインプレッションレビューはこちらに譲るといたしまして、いよいよ出そろってきた全9機種の発売モデルを順番に眺めていくといたしましょう。なかなか期待が持てそうな感じですよ。ただし、いずれも日本での年内発売はなさそうなのが、なんとも残念で仕方ないんですけど...
HTC 7 Mozart
米国内ではT-Mobileからの発売が正式に決定し、欧州各国やオーストラリアでも一斉にリリースされる「HTC 7 Mozart」の最大の特長は、同社が「バーチャルサラウンドサウンド」にこだわったとしている音楽ケータイとしての完成度の高さにありますよ。映画館やコンサートホールで体験するかのような、全身を包み込む迫力のサラウンドサウンドを実現する「ドルビーモバイル」音響処理技術を搭載し、深みのある豊かな低音をクリエイトする音質補正プロセス技術の「SRS WOW HD」が採用されています。さすがは「モーツアルト」の名前を冠しただけありますよね! 予想ではシューベルトになるんじゃ...なんて言われてもいたんですけど。
その他の基本的なスペックといたしましては、1GHzのSnapdragonプロセッサー、512MBのRAMと576MBのROM、8メガピクセルのカメラを装備。Bluetooth、Wi-Fi、GPS、加速度センサー、アンビエントライトセンサーによる自動的な明るさ調節機能などが標準で備わっています。音楽ケータイと称するには、やや8GBというストレージ容量だと心もとないような気もしますけどね。
3.7インチのディスプレイを搭載するHTC 7 Mozartの本体サイズは119×60.2×11.9mmとなっており、バッテリーを含む本体重量は130グラムというコンパクトデザインにまとまっていますよ。
HTC 7 HD7
こういうコンセプトがあったか...と若干の驚きも誘うスタンドが標準搭載されたデザインが特徴的な「HTC 7 HD7」は、800×480ピクセルの画面解像度でWVGA表示となる4.3インチディスプレイを搭載したため、122×68×11.2mmと少し本体サイズも大きめになっており、本地重量は162グラムにアップ。しかしながら、先ほど紹介したHTC 7 Mozartよりも、さらにマルチメディアケータイとして強力な性能を誇っていますよ。
ドルビーモバイルとSRS WOW HDの組み合わせが抜群の音響効果で、移動中のみならず、スタンドを立ててデスクトップでも十分に迫力あるサウンドスピーカーで視聴を楽しめるプレイヤーが魅力ですね。ストレージ容量も、HTC 7 Mozartの倍となる16GBモデルを選択可能です。5メガピクセルのカメラは、720pの動画撮影にも対応していますよ。内蔵メモリーには512MBのROMと576MBのRAMが搭載されていますね。
Dell Venue Pro
上で紹介した2機種と同様に、米国内でT-Mobileからの発売が正式に決定している「Dell Venue Pro」は、ある意味で、今回のリリース全9機種の中でも、もっともデザイン面でユニークな仕上がりを見せていますよ。とにかくキータイピングの快適さにこだわって、デルが編み出した縦にスライドするQWERTY配列のキーボードには、なかなかの好評価が集まっていますね。このサイズのケータイにしては、キーとキーの間のスペースも程良く、慣れれば高速タイピングだってできそうです。ちょっと元々のデザインも縦長なので、キーボードを引き出したら異様に縦方向に伸びきっちゃいますけどね...
マルチタッチ対応の4.1インチのディスプレイは、アクティブマトリックス有機EL(AMOLED)採用なので明るくシャープで見やすく、タッチスクリーンの反応もいい感じでしたよ。5メガピクセルの搭載カメラの出来栄え次第では、これはデルもやってきたなって、かなりのお勧めモデルになりそうです!
HTC 7 Surround
米国内でiPhoneを独占的に販売してきたAT&Tからの正式発売が決定している「HTC 7 Surround」は、スライドさせると飛び出すヤマハ製のスピーカーとスタンドが象徴しているように、こだわりのサウンドで音楽ケータイとして注目を集めそうですよ。
HTC 7 Mozartよりも少し大きい、800×480ピクセルの画面解像度でWVGA表示の3.8インチディスプレイを装備するHTC 7 Surroundは、ストレージ容量が8GBのモデルしか用意されていないのが、ちょっぴり不安なところです。本体サイズは119.5×61.5×12.97mmで、本体重量は165グラムとなっていますよ。
Windows Phone 7の特徴の1つに、マイクロソフトから出されている規定のスペック以上のハードウェアを全機種で統一して満たしていることが挙げられ、HTC 7 Surroundでも、基本的なスペックは、他のモデルと同様に、1GHzのSnapdragonプロセッサー、512MBのROM、576MBのRAMを装備し、Bluetooth、Wi-Fiを標準で備えています。5メガピクセルのカメラは720pの動画撮影にも対応しており、アンビエントライトセンサーによる自動的な明るさ調節機能も搭載されていますね。
Samsung Focus
今回発表の全9機種の中で、もっとも美しいディスプレイ表示にこだわったのが、こちらの「Samsung Focus」ですよ。欧州では「Omnia 7」の製品名で発売予定です。WVGA表示で4インチのスーパーAMOLEDディスプレイを備えながらも、もっとも薄型のデザインに仕上げてきましたね!
やはり8GBと少なめのストレージ容量が気がかりではありますけど、Bluetooth、Wi-Fi、A-GPS、5メガピクセルのカメラなどを、すべて標準装備していますよ。サムスン製ということから、実際の発売時には、Windows Phone 7にプリインストールされているアプリケーションに加えまして、どのような同社オリジナルアプリが満載されているのかも気になるポイントになりそうです~
LG Quantum
こちらは先に紹介しましたDell Venue Proとは打って変わりまして、横方向にスライドするQWERTY配列のキーボードを搭載した「LG Quantum」ですよ。16GBのストレージ容量を誇りますけど、ディスプレイサイズは3.5インチと小型で、RAMも256MBと少なめのスペックが発表されていますね。
とはいえ、Samsung Focusと同様に、最大のアピールポイントは、LGが独自に開発したオリジナルアプリの充実が挙げられますよ。たとえば、Digital Living Network Alliance(DLNA)基準を満たすコンピューターやテレビなどのデバイスに向けて、動画、音楽、写真をダイレクトにストリーミング再生できる「Play To」の搭載が発表済みです。デジタルカメラの解像度は5メガピクセルですよ。
HTC 7 Pro
こちらは米国内でSprintからの来年初めの発売が正式決定している「HTC 7 Pro」ですよ。スライド式のQWERTY配列キーボードを搭載しつつも、かなり小さめの117.5×59×15.5mmのコンパクトサイズにまとめてきたところが評価されていますね。本体重量が183.5グラムと、他のモデルと比較してヘビーになっているのは、最初から大容量のバッテリーを標準装備しているからなんだそうです。ややバッテリーの持ちが悪いのでは...との指摘も出ているWindows Phone 7の弱点が解消されそうですね。
その他のスペックとしましては、やはりWindows Phone 7の基準を満たす1GHzのSnapdragonプロセッサー、512MBのRAM、576MBのROM、16GBのストレージ容量を備えています。5メガピクセルのカメラでは、720pの動画撮影も可能ですよ。
LG Optimus 7
米国内市場向けにはQuantumを投入するLGですが、他の欧州諸国、オーストラリア、そしてアジアではシンガポールでの発売が決定しているのが、こちらの「LG Optimus 7」ですよ。WVGA表示の3.8インチディスプレイを装備した本体サイズは125×59.8×11.5mmとなっています。ストレージ容量は16GBで、Bluetooth、GPS、デジタルコンパス、加速度センサー、近接センサー、アンビエントライトセンサーの搭載がアナウンスされていますよ。
LG Optimus 7の大きな特長の1つに、360度のパノラマ写真が撮影できる5メガピクセルのカメラ搭載が挙げられています。これはWindows Phone 7の中でも興味深いアプローチでしょうね。720pの解像度で動画も撮影可能ですよ。
すでに紹介しましたが、LG製のWindows Phone 7ケータイには秀逸なオリジナルアプリが標準搭載されています。Play Toに加えまして、マイクに向かって話しかけるだけでテキスト変換入力がなされ、メールやTwitter、FacebookなどのSNSへの書き込みが完了してしまうアプリケーションがアナウンスされていますよ。なかなか便利そうですよね。日本語には対応してくれないんでしょうけど...
HTC Trophy
最後に紹介いたしますのは、欧州各国とオーストラリアでの正式発売が決定している「HTC Trophy」ですよ。HTC Trophyの掲げているコンセプトは、ハイスペックや高機能の追求ではなく、とにかく低価格にこだわった廉価版モデルの投入です。
そうは言っても、基本的なマイクロソフトが定めるWindows Phone 7の基準を満たすスペックにはなっているのでご安心あれ。WVGA表示の3.8インチのディスプレイ、576MBのROM、512MBのRAM、720pの動画撮影にも対応した5メガピクセルのカメラ、8GBのストレージ容量が、廉価版に位置づけられるHTC Trophyにも標準搭載されていますよ。
本体サイズは118.5×61.5×11.96mmとコンパクトで、140グラムの本体重量になっています。興味深いのは、HTC 7 Proほどの大容量ではありませんけど、HTC Trophyには、他のモデルよりも長時間駆動を実現するパワフルなバッテリーが搭載されている点ですね。必要最低限のスペックは十分に満たしていると言えるでしょう。
いかがでしょうか? いい意味でも悪い意味でも、なんともWindowsっぽいマイクロソフトがリリースするにふさわしいWindows Phone 7のラインナップが出そろった感じでしょうかね。まずは早くも来週より欧州などで発売がスタートし、米国内での正式発売は各キャリアから来月に予定されていますよ。
あのぅ、かなり気になるポイントといたしまして、今回のマイクロソフトの発表では、日本という言葉が全く出てこなかったんですけど、どうなってしまっているんでしょうか? 日本でもWindows Phone 7を心待ちにしている人たちが大勢いると思うんだけどなぁ。この調子だと年内に日本国内でWindows Phone 7をゲットできる可能性が非常に低いんですけど、なんとかリリースまでこぎつけてほしいもんですよね...
Kat Hannaford(原文/湯木進悟)